NHK大河ドラマ『青天を衝け』を見て、渋沢栄一研究に長く携わる私こと坂本慎一が感想と解説を書きます。
堤真一さん演じる平岡円四郎の出番が増えてきました。恩人であるゆえ、後の栄一は平岡のことをあまり悪く言っていませんが、ドラマではちょっと変人のような描き方です。これは何か史実に基づいているのか、脚本家の大森美香先生の空想なのか。
すいません、まったく分かりません。自分の勉強不足を棚に上げて、ここは堤さんの演技を楽しみたいと思います。
今週は栄一が長野県へ商売に出かけました。栄一の商人としての原点です。長野へはその後、何度も出かけており、安政5(1858)年10月には尾高純忠と一緒に旅行に行ったこともありました。栄一がその旅行で記した「内山峡」と題する漢詩は、ドラマの題名にもなっています。
勢衝青天攘臂躋 気穿白雲唾手征
(勢いは青天を衝き、臂を攘って躋り 気は白雲を穿ち、手に唾して征く)
これをNHKさんの公式HPは、こう訳しています。
(青空をつきさす勢いで肘をまくって登り、白雲をつきぬける気力で手に唾して進む)
(ページの下の方です)
「栄一が青天をつく勢いで登る」という解釈です。
じつはこの前に「奇巌怪石、磊々として横たわる」という一文があるので、次のようにも読めます。
訳「青天をつくくらい高い岩山を、腕まくりして登る。岩の雲気は白雲に穴をあける勢いなので、手にツバをかけて行く」
青天をついているのは栄一なのか、岩なのか。正直に言うと私は岩じゃないかと思っているのですが、この漢詩は第7回放送で紹介されるらしいので、それを待つことにしましょう。
玉木宏さん演じる高島秋帆との交流はもちろん架空のお話(のはず)ですが、後年渋沢は秋帆の石碑の建立に寄付をしており、その活動と見識に敬意を払っていました。10年間の不遇の生活をへて、若き栄一を励ます場面は、もう架空ではなくて史実にしてしまいたいくらい素晴らしかったです。
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