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執筆者の写真坂本 慎一

『青天を衝け』第4回

NHK大河ドラマ『青天を衝け』を見て、渋沢栄一研究に長く携わる私こと坂本慎一が感想と解説を書きます。

ドラマでは渋沢栄一が、尾高惇忠から精力的に学ぶ様子が描かれました。ここが丁寧に描かれていることは大変に心強く思います。

というのは、私がまだ大学院生で栄一の研究を始めた四半世紀ほど前、栄一の知性はヨーロッパに1年半滞在したことがすべてであって、日本で学んだことは、ほとんど意味がない、という解釈が大勢でした。それに異を唱え、むしろ惇忠に学んだことこそ重要な基礎であると主張したのが、2000年に提出した私の博士論文です。

タイムスリップして25年前の私に今の大河ドラマを教えたら・・・まあ信じないでしょうね。それくらい時代は変わりました。

藍の農家の人達を集めて宴会をするシーンは、後年の栄一が少しだけ語っているところです。それをドラマでは、面白い話に広げて描写されました。このように後年の栄一がボソッと言っているだけの、細かい話を見逃さずに拾い上げるところは、NHKさん、さすがです。この細かさで受診料を払わない人も見逃さないのでしょう。

代官所へ行って、腹を立てて帰って来る話は、後年の栄一が何度もしつこく、しつこく語っています。ほぼ同年代の福沢諭吉も、旧体制は「親のかたきでござる」などと言っていました。体制に腹を立てた人はたくさんいたでしょうが、2人とも後年にいたるまで、かなり根に持つタイプでした。

北大路欣也さんは、私の中では永遠の大石内蔵助だったのに、今やすっかり徳川家康です。現在、日本史研究は中世史と近代史が非常に盛んで、近世史は手薄になっています。欣也さん演じる家康で、江戸時代に関するEテレ特番が見られたら、私だけ受信料を値上げしていただいても結構です。

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