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執筆者の写真坂本 慎一

『青天を衝け』第6回

ドラマの中で竹中直人さん演じる徳川斉昭が、依然として強硬な攘夷論を主張し続けています。本当の斉昭は、要潤さん演じる松平春嶽あての手紙で、開国に向けて努力しなさいと言っており、内心では違う考えもあったようです。今後ドラマでも、斉昭の微妙な心の裏表が描写されないか、竹中さんによる人間国宝級の顔芸を期待しています。

お話の中で徳川光圀が何度か出てきました。水戸黄門といえば、TBSさんのナショナル劇場ですね。Wikipediaにドラマ『水戸黄門』の発案者は逸見稔さんだと書いてありますが、本当の発案者は松下電器・広報本部長だった真木嘉裕さんです。真木さんはPHP研究所に在籍したこともあり、われわれの大先輩なので、ちょっとこだわっておきます。

今回は栄一と千代の恋愛模様が描かれました。ドラマでは非常に純情な青年として描かれています。これについても、本当の栄一は女性関係が派手であった、という指摘がネット上にゴロゴロ転がっています。あまりにも多いので、一言いわせてください。

明治時代には「赤新聞」と呼ばれるイエロージャーナリズムがあり、著名人について、あることないこと書き立てていました。この格好のえじきとなったのが伊藤博文と渋沢栄一です。今でも2人は異様なまでの好色漢だったと固く信じている人もいますが、その情報源の大半はこの「赤新聞」です。

それに、一夫一婦制の民法が日本にできたのは明治31(1898)年6月であり、栄一が58歳の時です。後年の栄一は「自分の若いころの女性関係は、あまり褒められたものではない」という意味のことを言っていますが、逆に言えば、明治31年を境に時代が変わったことはちゃんと意識していました。

と、ここまでふまえたうえで、NHKさんが描く「純情な栄一青年」を楽しもうではありませんか。脚本家の大森美香先生に代わって、頼まれてもいない私が、勝手に弁解いたしました。

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