渋沢栄一が明治新政府の官僚として働き始めました。石丸幹二さん演じる大久保利通と、さっそく衝突しています。大久保のことはどうにも「腹の虫が好かぬ」と言っていて、後年にいたるまで、良い感情を持っていません。大久保も長生きすれば和解する機会があったかもしれませんが、暗殺されてしまいました。
一方で高木渉さん演じる玉野世履も登場しました。玉野は後に初代の大審院長、つまり初代の最高裁判所長官になる人です。玉野とは、意見が合わずに何度も激しい議論になりましたが、後日になって玉野が謝ったりして、個人としては何のわだかまりもなかったと栄一は言っています。意見が合わないままで終わった大久保に対して、玉野とは意見が合わなかったわりにお互いを認め合う仲でした。『渋沢栄一一日一訓』の次の言葉を思い出します。
「仕事において、意見が合わない場合など、あるいは職を失う覚悟をしてでも、何が正しくて何が正しくないかを論争しなければならないことがある。しかし、多くの場合は、なるべく朗らかな顔をして、穏やかに議論するのが最上の策である」(18ページ)
これは後年の栄一が言ったことであり、若いころは「穏やかに議論する」ことが、難しかったようです。大久保とうまくいかなかった反省をこめて、こう述べたのでしょうか。
後年の栄一は何度か大病しますが、胃腸は丈夫でした。腹の中にいた「虫」が大久保を好かなかったのなら、しょうがないですね。
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