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執筆者の写真坂本 慎一

『青天を衝け』第36回

渋沢栄一の妻の千代が、流行り病で亡くなりました。コロナ禍にあって、タイムリーな話材でもあると思います。当時は郊外であった飛鳥山に家を建てたのも、都心は病気が流行しやすいので、それを避けるためでした。しかしその甲斐なく、千代はコレラに感染して亡くなってしまいました。

後の1930(昭和5)年10月、栄一は千代の五十回忌を営みました。「妻の五十回忌を夫が営む」というのも、珍しいと思います。栄一はその翌年11月に91歳で亡くなるので、この時もかなり老衰しており、元気に演説する、というわけにはいきませんでした。それでも先妻の追憶を述べ、自らの死を目前にして、改めて千代に感謝したかったようです。ドラマでは最終回にこの場面を期待したいところですが、どうなるでしょうか。

後年の栄一はマスコミに引っ張りだこになり、栄一の奥さんと言えば後妻の兼子夫人のイメージが定着します。留守を預かったりして苦労した最初の正妻の千代は、ドラマ化した価値が大いにあったのではないでしょうか。

NHK出版の公式ガイドブックによれば、このドラマは全41回で栄一が死去するまで扱うとのことです。今回の時点で42歳ですから、あと5回で50年分を一気に駆け足で描くことになりそうです。速い展開になることは、栄一もせっかちな性格なので、本人の気質には合っているでしょう。

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